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2019/05/16 | KAJIMOTO音楽日記

●「真摯たることが真の喜び」―― ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管来日直前!聴きどころをご紹介(その1)


新カペルマイスター(第21代)カペルマイスターのアンドリス・ネルソンス率いる、市民発のシンフォニー・オーケストラとして世界最古の楽団、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団(GHO)の来日まで、いよいよあと1週間。

タイトルの言葉「真摯たることが真の喜び」は、ラテン語の原語では「RES SEVERA VERUM GAUDIUM」。GHOを古くから貫くモットーであり、彼らの本拠地ゲヴァントハウスのホール正面に記してあります。
この楽団の演奏をイメージするとき、実に彼ららしいモットーだと思わずにはいられませんね。



さて、今回の来日公演の聴きどころをいくつか。

「ゲヴァントハウス管、新しいカペルマイスターのネルソンスとコンビ初来日」
若手から中堅に至る才能あまたの指揮者世代の旗手であり、40歳にして、GHOのカペルマイスターとボストン響の音楽監督という、オーケストラ界の最高峰ともいえるポジションを2つ兼任するネルソンス。今回GHOとのコンビとは初来日となります。ファンの方々はよくご存じと思いますが、師のヤンソンスにも似て、しっかりと音楽的知性を働かせながら、それ以上に心と身体のおもむくままに音楽を奔らせる勢いがあり、それは清澄であるとともに爽快な聴後感を生みます。
それを古豪GHOが楽しみながら、敬意を抱きながら演奏する様子が、CDや映像からでも伝わってきます。

https://www.youtube.com/user/gewandhausleipzig/videos
(最近のGHOの映像関係はこちら↑)


「ゲヴァントハウス管とチャイコフスキー」
ドイツ音楽の総本山GHOのロシア音楽ってどうなんだろう?と思う方がいると聞きました。GHOはあれだけの歴史をもつオーケストラ。チャイコフスキー自身もこの楽団を客演して自らの交響曲を指揮したり、今回の「第5交響曲」は19世紀末、ニキシュがヨーロッパ・ツアーの折にとり上げ、それで人気曲となるきっかけとなったくらいです。またライプツィヒが東ドイツだった時代、ソ連(ロシア)からの客演指揮者は多く、チャイコフスキーの演奏機会も多くありました。1970年代には当時のカペルマイスター、クルト・マズアがチャイコフスキーの交響曲全集を録音しています。
そして、ネルソンスもまた、かねてからチャイコフスキー・・・特にこの「第5」が得意で、バーミンガム市響との来日公演でも指揮していました。生彩とロマンと溢れる幻想的演奏。
またGHOともチャイコフスキー・チクルスを行う計画もあるそう。

「ゲヴァントハウス管とショスタコーヴィチ」
ショスタコーヴィチ作品の受容史に、実はGHOは大きな役割を果たしているのです。
詳しくは、前々回2014年来日時に掲載した記事をご覧いただきたいのですが↓
http://www.kajimotomusic.com/jp/news/k=1715/
1929年にブルーノ・ワルターがGHOと交響曲第1番を演奏、それがこの作曲家の存在を世界に印象付けるきっかけに。その後も「第8」「第10」「第13」をドイツ初演、そして室内交響曲op.110aはGHOが世界初演をしました。また70年代には、マズアを中心にした指揮者たちが、ベートーヴェンと組み合わせた全20公演にわたる世界初のショスタコーヴィチ交響曲全曲チクルスを行っています。(作曲者が亡くなった翌年から)
2014年、シャイーとの来日時の「第5」の鮮烈な演奏は、それらを証明するに余りあるものでした。
そしてネルソンスもまた、現在ボストン響とショスタコーヴィチの交響曲レコーディング・チクルスを進行させており、大変に高い評価を得ています。


(続)


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