いよいよ来週に迫った、今シーズンで創設100周年を迎えたスイス・ロマンド管弦楽団の来日公演。
日本では、ノットがかねてから「対照的なプログラム、両方ぜひ聴いてください」と言っているように、ドビュッシー+ストラヴィンスキー+デュカスのフランス・ロシア系近代プロと、メンデルスゾーン+マーラーのドイツ系プロを演奏。
先週、彼らの本拠地、ジュネーヴのヴィクトリアホールで行われた定期公演で、まさにこの2つのプロが演奏されました。
弊社のスタッフが現地に飛び、この2公演を聴いたレポートを送ってくれましたので、どうぞお読みください!
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冒頭に演奏されたドビュッシー「遊戯」について、マエストロ・ノットも「この曲をこのシーズンに何度もやれることが嬉しい」と言っていました。弊社のWebでも紹介されておりますが、20世紀初頭のパリで、ディアギレフがバレエ・リュスの公演のためにドビュッシーに依頼したバレエ音楽です。マエストロに教えてもらったのですが、「ドビュッシーは作曲に乗り気じゃなくて、ギャラを2倍に上げてもらってしぶしぶ承諾したんだよ」とのこと。ストラヴィンスキーの「春の祭典」の2週間前に同じシャンゼリゼ劇場で初演されたのですね。その分歴史的に注目度で損したところがあるかも。正直音楽としても掴みどころが難しい印象がありますが、とてもシャープで面白い曲ですし、演奏です。
ドビュッシー「ピアノと管弦楽のための幻想曲」。ソリストのジャン=フレデリック・ヌーブルジェが登場。この曲はドビュッシー唯一の“協奏曲”スタイルの音楽で、冒頭のテーマはいかにもドビュッシーらしい美しいメロディ。OSRはフランス語圏のオーケストラなので、こうしたエスプリの効いたプログラムは伝統的なレパートリーであり、またまさにそうした演奏でした。
そして、後半はストラヴィンスキー「3楽章の交響曲」。前半とは完全にカラーが違う音がします!このオケの地力を見せつけられた感あり。弦楽器はとても良く鳴りますし、魅力的な奏者が多いです。管楽器もレベルは高く難曲を見事に吹ききっていました(それだけのレベルでないと吹きこなせない曲です)。
お馴染み、デュカスの「魔法使いの弟子」は、やはりよく知ったメロディですので、きっとどんなお客様にとっても開放感をもたらせてくれるはず。やはり抜群に楽しい曲ですし、演奏もそれを引き立てる精妙さがあります。
これは自分の主観的な印象ですが、後半の曲の方が魅力的かな。その分演奏も面白かった気がしました。
しかし、こういう鮮やかな演奏を聴いたあと、次のメンデルスゾーン+マーラーというまったく別の世界をどういう音で彩るのか?ますます興味がわいてきました。