今年も1年間、弊社の演奏会ほかへ、たくさんの方々にお越しいただき、本当に有難うございました。心から感謝いたしております。
世界情勢も、そしてわが国の政治・経済から身の回りの生活感の変化など、混迷の深まる日々に憂いを感じる昨今です。しかし先人たちもまた、やはりそれぞれの時代の生活の喜びや不安の中から様々な音楽を作曲することで喜怒哀楽を表明しました。そして巨匠から手垢のつかない清新な感覚をもった若者まで、たくさんの演奏家たちはそれを懸命に音にしてくれます。私たちはそれを受け取って高揚し、またはじっくり考えることで勇気や光を得ることができる。あるいはそういったことで人の在りようや歴史などに心を馳せ、ふと立ち止まってみる機会ともなるのではないか・・・もしそうなっていれば、誠に幸いなことです。
少々話が逸れかけましたが、さて、この1年の弊社の演奏会を頭に浮かぶままに思い返してみますと・・・
お正月に、人生の酸いも甘いも噛み分けたウィーンの爛熟した文化の音で酔わせてくれたウィーン・リング・アンサンブル(もちろん来年も!1/6です)、
アンドラーシュ・シフのピアノ(3月)やヘルベルト・ブロムシュテット(11月。90歳です!)の指揮のように、今までの成果に安住せず、さらに先の「真」を見ようと求道する人たち。
大スターの歌の何たるかを示してくれたアンナ・ネトレプコやキャスリーン・バトル、
個々の名人芸を周囲と融合させて、より高く大きなものへと昇華させるルツェルン祝祭管弦楽団やロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(9月の前者は新しい伝統を作り出し、11月の後者はポジティヴな意味で伝統を守っていく)、
またイーヴォ・ポゴレリッチのようにどん底から這い上がり、今や再び高き光に向かって進む天才の姿etc、etc・・・
これらの演奏家、音楽のどれもが違い、どれもが尊重されるものだと思います。
どうか来年も皆さまがたくさんの演奏会を通じて、それぞれに色々なことを感じ、発見し、心震わせ、明日への人生の糧となりますように。
心からの願いと感謝をこめて。
どうぞ今後とも、何卒よろしくお願い申し上げます。
KAJIMOTO
*年始、最初の演奏会は先述しましたが、1/6(土)サントリーホールで行いますウィーン・リング・アンサンブル公演です。元旦のウィーン・フィルのニューイヤーコンサートの衛星中継をご覧になってから、ぜひその空気をナマで味わってみてください!