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2017/11/13 | KAJIMOTO音楽日記

●リサイタルの前に―― 話題の名ヴァイオリニスト、レオニダス・カヴァコスに聞く!


昨日までヘルベルト・ブロムシュテット指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の日本ツアーで、メンデルスゾーンとブラームスの二大ヴァイオリン協奏曲を各地で弾き、大反響を巻き起こした現代最高の名手のひとり、レオニダス・カヴァコス。

本日からカヴァコスのリサイタル・ツアーが始まりますが(11/13東京トッパンホール、11/14豊田市コンサートホール、11/19彩の国さいたま芸術劇場)、その前にショート・インタビューを行いましたので、ぜひお読みください!





◎共演ピアニストのエンリコ・パ―チェについて

はじめてエンリコと会ったのはもうだいぶ前のこと、ノルウェーの音楽祭でした。最初に音をあわせた時にもう息がぴったりだったので、また共演しようといいながら、なかなか二人の日程があわなくて、次の共演まで数年待たなければいけませんでした。それからは定期的にあちこちで共演しています。
我々のコンビで実り深かったもの、それはDECCAレーベルでのベートーヴェンのソナタ全曲の録音ですね。私はこの録音をとても誇りに思っています。すごく大変でしたが良いものになったと思っています。エンリコは古典作品から現代の作品まで大変レパートリーが広く、そして本当に素晴らしい音楽家です。その音の美しさといったら群をぬいています。いつも新しい解釈を模索し、常に深い音楽づくりをする人です。彼と共演できることはいつも喜びです。


◎今回演奏するリサイタル・プログラムについて

プログラムはどれも興味深い作品を集めましたが、みな難しい作品です。前半はヤナーチェクとシューベルト作品。この2つの作品はとても違っていながら、とても近しい関係にあります。2つとも我々に夢を見させてくれる、でもヤナーチェクは激しくてドラマティック、シューベルトは抒情的でありながらもリズミックな拍節が際立った作品。シューベルトはヴァイオリンとピアノのために書かれた室内楽作品の中で演奏が最も難しい作品かもしれません。
後半はメシアンとベートーヴェンの作品。メシアンは主題と変奏ですが、シューベルトの幻想曲も主題と変奏になっていますし、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ10番も最後の楽章が主題と変奏になっています。メシアンは自然を愛し、自然から多くのインスピレーションを得ました。この作品は11~12分の短い作品ですが、私たちは古典作品に接するようにこのメシアン作品にアプローチしています。最後の変奏はメシアンの室内楽作品を代表する「世の終わりのための四重奏曲」に近いものを感じます。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ10番はベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタの中で最も美しい作品かもしれません。瞑想に近いものがある。ベートーヴェンの後期の作品でみられる、より自由なスタイルで、第2楽章と3楽章がつながっており後期のピアノ・ソナタに通じるものがあります。プログラムの最後をしめるのにふさわしい作品です。


◎日本のこと

日本で演奏することは常に喜びです。なにより日本の聴衆のクラシック音楽への愛を感じます。そしてコンサートの間、日本の聴衆はみなさん熱心に、注意深く、尊敬をもって音楽に集中しているのを感じます。おそらく他の音楽家の方もみな同じことを言うと思いますが、日本の聴衆は世界最高ですね。大ホールも小ホールも、どれもホールの音響が素晴らしい。ステージで演奏していると自分が楽器の一部のように感じ、たくさんのインスピレーションを得ます。そうなると音楽も、よりチャレンジングで面白いものになるのですよ。
また日本にいて素晴らしいと思うのは、バックステージのスタッフがみな音楽を愛し、仕事に喜びを感じながら、仕事に関わっているということ。音楽家への接し方、オーガニゼーションの素晴らしさについては世界一です。この前もゲヴァントハウス管と札幌で演奏してあと、ホールを去るときにスタッフの皆さんがみんなずっと立って感謝の言葉とともに見送ってくださってくれたのです。これはスタッフの方々が、音楽家を尊敬してくれ、音楽家がステージにたつことの難しさ、そして人々へ音楽をささげることの大切さを理解しているのです。
もちろん日本文化の素晴らしさについてもたくさん述べることはありますが、なによりも周りにいる人の素晴らしさが私の日本滞在を素晴らしいものにしてくれるのです。


11月13日(月)19時 トッパンホール
11月14日(火)18時45分 豊田市コンサートホール
11月19日(日)15時 彩の国さいたま芸術劇場
 

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