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2017/06/12 | KAJIMOTO音楽日記

●復活の鬼才が今年も。しかも自らのバースデーコンサート!―― イーヴォ・ポゴレリッチ、先行発売はまもなく。


「復活」「完全復活」、とあちらこちらの記事でこの言葉が踊り、私もここでついぞそう書いてしまっておりますが、イーヴォ・ポゴレリッチにはいっとき本当に「混迷の時」がありました。そのときのことをご存じで体験した方々も多いと思います。ただでさえ彼独特のテンポ、音楽作り、世界観が人の理解の範囲外に迷走し――ただし、それは確かに凄い世界ではありました―― このまま彼はどうなってしまうのか!?と危ぶまれたものですが、しかしながらポゴレリッチは帰ってきました。迷いの森の試練を抜けて帰還した英雄のように。ひとの人生を安易な言葉で色々言ってはいけないのだろうと思いつつ、こうした感を抱く人は少なくないと思われます。
かつての全盛期、と思われていた時代よりさらに深く広大な音楽を放射しながら帰ってきたのです。昨年や2014年の来日公演を聴かれた方なら、上のような形容もお許しいただけるのではないでしょうか?



そしてポゴレリッチは今年も10月に来日。奇遇なことに自らの誕生日である10月20日にサントリーホールでリサイタルを開きます。
カジモト・イープラス会員限定先行受付は、来る6/15(木)から!


[イーヴォ・ポゴレリッチ ピアノ・リサイタル]
10月20日(金)19時 サントリーホール
S¥13,000 A¥10,000 B¥7,000 C¥5,000 プラチナ券¥18,000

カジモト・イープラス会員限定先行受付
6/15(木)12時 ~ 18(日)18時  ●お申し込み
一般発売
6/24(土)10時~  ●お申し込み


ポゴレリッチの現在の「帰ってきた感じ」―― 妙な書き方で恐縮ですが―― そんなとても幸福で前向きな精神を表す(のだろう)ものとして、演奏そのものもそうですが、最近の来日では、必ず彼にとっての何らかの新しいレパートリーを加えてくることがあげられます。
今回で言えば、ショパンの「バラード第3番」とラヴェル「ラ・ヴァルス」。(注:弊社KAJIMOTO Concert誌等で発表したプログラムから一部変更が生じております
ポゴレリッチはショパンのバラードというと、これまで「第2」しか弾いていなかったのですね。スケルツォは4曲とも弾いているのに。ここらあたりのレパートリーの決め方がまた独特なのですが、彼は1つの曲をステージに上げることに関して、極めて慎重なのです。よくよく勉強し、自分の中で熟すまで舞台では弾かないらしい。(楽譜の書き込みを見たことがありますが、恐ろしいほどの解釈の徹底ぶりです。およそ無意識に流す、という音は彼にとって存在しないかのごとく
そして「ラ・ヴァルス」。これは“音”といい、内容といい、リストの「ロ短調ソナタ」と並んでとてもポゴレリッチ向きの曲と思うのですがどうでしょうか?凄いことになりそうな気がします。

あとベートーヴェン「熱情」ソナタやリスト「超絶技巧練習曲集」はもちろんのこと、ちょっと注目したいのは、たしか日本では1995年以来の演奏になると思いますが、クレメンティのソナチネハイドンのニ長調のソナタ。これ、ピアノの学習者や、かつてそうであった方(もちろんプロでも)ならよくご存じの――そう!「ソナチネ・アルバム」に入っている、恐らくは誰もがバイエルやツェルニー練習曲を経たあとに弾いてきたであろう曲たち。私なぞは子供の頃の練習の苦痛を同時に思い出す可能性もありますが(笑)。
それにしても懐かしい。ノスタルジー。
なぜこの曲なのでしょうね?きっとポゴレリッチにそんなことを聴いても、「素晴らしい曲だからだよ」としか言わないでしょうけど。

昨年の来日でのシューマン作品やラフマニノフのソナタ(そして読売日響と共演した「第2協奏曲」)での、途方もない巨大なロマンティシズムとそれを支える独自の巨人的ピアニズムを思い出すにつけ、神も悪魔も同居しているかのような巨匠ポゴレリッチを聴くのは「今」と思います。ぜひまだ聴いたことがない、という方々を含め、多くの人とこの類稀な時を分かち合えますように。


■チケットのお申込みはこちらから

カジモト・イープラス会員限定先行受付
6/15(木)12時 ~ 18(日)18時  ●お申し込み
一般発売
6/24(土)10時~  ●お申し込み
 

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