いささか大袈裟なタイトル、と思いながら書きましたが(汗)、しかしながらそれは本当のこと。そんなフランス・ヴァイオリン界の巨星(身体も大きい!)、オーギュスタン・デュメイが東京で久々のヴァイオリン・リサイタルを、彼が指名したピアニストのレミ・ジュニエとともに、最良のフレンチ・コンビで行います。
[オーギュスタン・デュメイ ヴァイオリン・リサイタル]
9月29日(金)19時 紀尾井ホール
カジモト・イープラス会員限定先行受付
6月8日(木)12時 ~ 11日(日)18時 ●チケットのお申し込み
一般発売
6月17日(土)10時~ ●チケットのお申し込み
様々な広告媒体で、「フランコ=ベルギー楽派を継承する・・・」というキャッチ・コピーを見たかもしれませんが、「フランコ=ベルギー楽派」って?
これは簡単に言えば、古くはバロック時代に端を発し、その後シャルル・オーギュスト・ベリオやイザイ、ヴュータンらの大家に代表される、名前の通りフランスやベルギーの地域で発展したヴァイオリン奏法の流派。ロシア派ともドイツ流とも、後進のアメリカのそれともまったく違うものです。これは聴いてみるとすぐわかりますが、まず音が柔らかで艶やか、その運びはしごく滑らかで、ボウイングのアップ・ダウンの切れ目を感じさせず、どこまでも音の旋律線が続いていくような・・・。私たちのよく知る名手ではアルトゥール・グリュミオーがそうでしたし、ジャン・ジャック・カントロフとか、若手では(色んな流派が複合しているのでそう言い切っていいかわかりませんが)ルノー・カプソンが挙げられるでしょうか?
そうして現役で最もその高みにいるのは他ならぬデュメイです。この流派の特性上、彼らのモーツァルト演奏はとってもきれい。
デュメイが有名になったのは1970年代の終わり、カラヤンに見出された頃なのでしょうが、なんといっても一躍音楽ファンの中心に踊り出たのは80年代の中頃、ピアノのマリア・ジョアン・ピリスとのデュオ活動を行いだしてからだと思います。
それはまず先にも挙げたモーツァルトですね。そしてベートーヴェン、ブラームス、ドビュッシー、フランクなどのヴァイオリン・ソナタで次々と名録音を連発し、日本公演でもどれだけの聴衆が感動してきたことか。デュメイはヴァイオリニストたちの中でも、とりわけこうしたレパートリーでは最高の弾き手の一人となりました。滑らかな音で颯爽と音楽が飛びたち、時には清らかに瞑想する・・・そこには情熱や力強さも欠けていません。
デュメイは現在指揮者でもあり、関西フィルの音楽監督になったときは多くの人々が驚いたものですが、5~6年くらい前でしたか、彼がこの楽団との東京公演でモーツァルトのヴァイオリン協奏曲の弾き振りをしたことがあります。これは聴いていて嬉しくなるような演奏でしたね!他では見られない音、よく流れ、歌い、美しく飛翔するモーツァルトでした。
今回共演するピアニスト、レミ・ジュニエは特にバッハの演奏でファンや専門家を瞠目させた注目の若手ですが、特にフランクのソナタがフランス人の名手コンビで演奏される、というのは楽しみです。そもそもデュメイのフランクというのは豊麗で官能的で霊妙、その曲を弾いて最高位のものでしたし。
R.シュトラウスのソナタは、数年前、カナダの名ピアニストであるルイ・ロルティとのコンビでCDを出していますが、そこではアグレッシヴなくらいダイナミックで豊かな演奏を展開していたのが印象に残ります。
そのフランクやR.シュトラウス、そしてブラームスというヴァイオリン音楽の歴史上燦然と輝く名曲たちを、ぜひ世紀を代表する流派の師範(?)とも言うべき名手によって体験していただければ、と願っています。
■お申し込みはこちらから
カジモト・イープラス会員限定先行受付
6月8日(木)12時 ~ 11日(日)18時 ●チケットのお申し込み
一般発売
6月17日(土)10時~ ●チケットのお申し込み