本日から「ワールド・オーケストラ・シリーズ2014」のカジモト・イープラス会員限定先行受付が好評の内にスタートしました。申し込んでいただいておりますたくさんの皆様、ありがとうございます!
続いて、明後日15日(日)からは「ワールド・ピアニスト・シリーズ2014」の先行受付が始まります。こちらのセット、すべての演奏会は秋シーズンとなりますが、ショパン・コンクール優勝者2人と、現代最高の精密なピアニズムを誇る大家の組み合わせ。
また駆け足でご紹介させていただきます。
[ワールド・ピアニスト・シリーズ2014]
カジモト・イープラス会員限定先行受付12月15日(日)12時 ~ 19日(木)18時
●お申し込み一般発売12月22日(日)10時 ~ 26日(木)18時
●お申し込み順番が違いますが、まず
ユリアンナ・アブデーエワから。
2010年のショパン国際コンクールで、マルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりの女性優勝者となったこの才女は、深いタッチとヴィルトゥオージティ強靭な技巧、ショパンの音楽様式を的確に再現する知性を持ち合わせている以上に、完璧へのあくなき追求といいますか、恐ろしいほどのストイックさをもって美を追求しているようで(素顔は、知的で大人っぽくはあっても、実に気さくでチャーミングなのですが)、早くもショパン・コンクール翌年に行われた日本ツアーでは、ラヴェルやプロコフィエフ、そしてワーグナー「タンホイザー」序曲の編曲版などで有無を言わさぬ、隙を見つけるのが困難な高嶺の花の美女のように(笑)、それこそ圧倒的に“完璧”な演奏を披露しました。
彼女の飽くなき知的好奇心は実に広いもので、今年4月にブリュッヘン指揮18世紀オーケストラとのショパンの2曲のコンチェルトで彼女が弾いたヒストリカル・ピアノ・・・エラールによる繊細で密度の濃い演奏を覚えている方も多いのでは?
「ショパン・コンクールで優勝するようなモダン・ピアノ弾きが、ブリュッヘンと共演なんて・・・」と最初懐疑的だった(審美眼に厳しい)古楽ファンも、この演奏にはKOされたようです。
今度の来日では、再びショパンに立ち返り、彼の最高の曲集のひとつ、「24の前奏曲」と、その奏者の音楽的素養の核が問われるモーツァルトのソナタ、そしてリストのヴィルトゥオーゾ的作品が披露されます。これら3つの違った要素をもつ曲をひとつのステージで、というあたり、よくよくの豪胆な自信と周到な準備なくしてはあり得ないもの。
楽しみにしたいところです。
ダン・タイ・ソンの清らかなピアノに、今さら何を説明することがあるでしょう。
かのポゴレリッチによる落選スキャンダル騒ぎのあった1980年ショパン・コンクールの覇者による、去る2012年のオール・ドビュッシー・リサイタルは、彼の音の美しさが120%発揮された、大変な聴きものでした。
あの音。欧米のピアニストたちとは一線を画した(これは我々日本人も含め、アジア独特のものと思えますが)軽く、透明で、さらっとした感触の音。
特にダン・タイ・ソンのそれは、有名な「ピアノにハンマーがないようだ」と評されるごとく、滑らかで清潔、山間を流れる清流のように澄んだ美しさ。その音と、(謙虚な人柄を表したものでしょうか?)優しげな情に彩られた演奏ぶりは、本当に心洗われるものです。
今回はその音をもって、それと相性のよいラヴェルの主要作品と、リストの「伝説」(「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」と「波の上を渡るパオラの聖フランチェスコ」)とプロコフィエフの「つかの間の幻影」という鮮やかな佳品たちが、どのような音世界を現出させるか、これは西洋のピアニストで聴く以上の楽しみだと思います。
最後は、フランスが生んだ現代最高のピアニストのひとり、ピエール=ロラン・エマール。今回は“エマール・フェスティバル”のように、
ソロ・リサイタルと
室内楽コンサートの2公演です。
ソロ・リサイタルは、最初提案があった時は驚きましたが、J.S.バッハ「平均律クラヴィーア曲集・第1巻」全曲です。ドビュッシーやラヴェル、メシアンらフランス近代から、シューマンなどのロマン派も弾き、ブーレーズやリゲティなどの現代作品を弾くかと思えば、モーツァルト、ベートーヴェンの協奏曲も弾いてしまう、驚くべき広大なレパートリーを我がものとするエマールですが、バッハとは!。
もちろん覚えていらっしゃる方も多いでしょう。彼はJ.S.バッハの「フーガの技法」全曲をレコーディングしていて、これを現代作品を交えながらのリサイタルを東京で行ったこともありました。(この上なく充実したコンサートでした!)
エマールのバッハ、というのは徹底的に知的でありながら、どの声部も自由であって堅牢、ひとつのスタンダードとなった感があり・・・といっても、ついに「平均律」か!と思うと、やはり感慨深いものがあります。
近年東京では、ポリーニが第1巻を、シフが第2巻を全曲演奏しておりますので、そこにまたひとつ大きな一里塚が加わるな、という期待でいっぱいです。
そして
室内楽の方は、なんとエリオット・カーターの特集!
昨年103歳(!)で亡くなった、アメリカを代表するこの作曲家の作風も(一筋縄ではいかない、とはいえ)バッハと同じく対位法的な精緻が魅力なもの。エマールは本当に現代の作曲家の皆から愛され親しまれていて、カーターとも親交厚く、彼の作品に関しても、初演を含め数多くの作品を演奏してきました。今回演奏される、10数曲からなるカーターの遺作「エピグラム」もエマールのために書かれたものです。「エマールのために」ということは、エマールの驚くべき知性的超絶技巧(?・・・これはかつて巨匠ブレンデルが「エマールくんの頭の中を割って見てみたいよ。彼のブーレーズ演奏などを聴いていると」と言った、その脳と腕前です)のために書かれた、ということであって、そのことからも相当に鮮やかな作品ということが想像できる、というものです。
また、他曲目未定な部分もあって恐縮なのですが、同じくカーターのチェロ・ソナタなど、奏者もエマール選り抜きの名人たちが登場する予定ですので、そこもぜひ楽しみにしていて下さい。
■チケットのお申込みはこちらまで
カジモト・イープラス会員限定先行受付12月15日(日)12時 ~ 19日(木)18時
●お申し込み一般発売12月22日(日)10時 ~ 26日(木)18時
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