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2013/12/07 | KAJIMOTO音楽日記

●ワールド・オーケストラ・シリーズ2014―― 発売開始!

12月。師走。クリスマス・・・。寒くなり、慌ただしくなってきました。クラシック音楽界におけるオーケストラ・ラッシュは一段落しましたが、まだ弊社の今年度ワールド・オーケストラ・シリーズは、来年のニューヨーク・フィル、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団を控えています。

さて、その最中、いよいよ来年の「ワールド・オーケストラ・シリーズ2014」のシリーズ会員券の発売が開始です!今度もまったく違った色合いやキャラクター――それぞれ長く厚い文化背景といえます――をもった4つのオーケストラによるシリーズです。
駆け足でご紹介させていただきましょう。


●[ワールド・オーケストラ・シリーズ2014 Aシリーズ]

フィラデルフィア管弦楽団
指揮: ヤニック・ネゼ=セガン  ヴァイオリン: 諏訪内 晶子
6月2日(月)19時 サントリーホール

フランス国立リヨン管弦楽団
指揮: レナード・スラットキン  ヴァイオリン: 五嶋 龍
7月17日(木)19時 サントリーホール

ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団
指揮: アントニオ・パッパーノ  チェロ: マリオ・ブルネロ
11月7日(金)19時 サントリーホール


●[ワールド・オーケストラ・シリーズ2014 Bシリーズ]

フィラデルフィア管弦楽団
指揮: ヤニック・ネゼ=セガン
6月3日(火)19時 サントリーホール

モントリオール交響楽団
指揮: ケント・ナガノ  ヴァイオリン: 五嶋 龍
10月16日(木)19時 サントリーホール

ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団
指揮: アントニオ・パッパーノ  ヴァイオリン: 諏訪内 晶子
11月11日(火)19時 サントリーホール


発売日(両日とも)
カジモト・イープラス会員限定先行受付
12月13日(金)12時 ~ 17日(火)18時  ●お申し込み
一般発売
12月22日(日)10時 ~ 26日(木)18時  ●お申し込み







全米ビッグ5オーケストラの一角であり、なんといっても「華麗なるフィラデルフィア・サウンド」で有名なフィラデルフィア管弦楽団。甘くとろけるような厚く豊麗な音色は、ヨーロッパにおけるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団と双璧。この音色はストコフスキー、オーマンディ、ムーティらによって引き継がれた“秘伝”の音色で、少しアップダウンした時期もあったようですが、2010年に首席指揮者デュトワとの来日公演の折には、それが完全復活したのを日本の聴衆にアピールしました。
そしてこの名門オケの音楽監督に2012年、若きヤニック・ネゼ=セガンが就任したことは、この楽団の経済的危機の最中でもありましたので、ファンを大きく驚かせたものですが、この新鮮なコンビはそういう状況を乗り越え、ワシントン・ポスト紙は「かつてこのオーケストラをこれほど素晴らしくならした者はいない」と評したほどです。
(今の時点で、ちょっと私たちの目で見ても誉めすぎでは?と思うほどですが、もちろんそうした成果と、これからの期待が込められての言葉だと思います)

その新音楽監督ヤニック・ネゼ=セガン。
彼の存在が私たちファンの視野に入ってきたのはこの4、5年くらいかと思いますが、ドゥダメルやネルソンス、ソヒエフ、K.ペトレンコらとともに近年急速に指揮界に台頭してきた一人です。METのライブビューイングでの「カルメン」や「ドン・カルロ」、または今年1月のロッテルダム・フィルとの来日公演で接した方も多いでしょう。素晴らしく輝かしいエネルギーを発しながらオーケストラをしなやかに、正確に統率し、オペラでもシンフォニーでもその楽曲に蔵する「ドラマ」を最大限に引き出して聴きてをワクワクさせずにはおかない、稀有な才能の持ち主です。
そんな彼がいやが上にも豊富な音色をもつフィラデルフィア管を指揮してのチャイコフスキー(「悲愴交響曲」と諏訪内晶子を迎えてのヴァイオリン協奏曲)、マーラー、・・・そしてドイツ・グラモフォンと契約してのレコーディングでモーツァルトの主要オペラ・プロジェクトにも取り組んでおり、そんなネゼ=セガンのモーツァルトはかなり期待大です。さぞや色合い豊かなドラマが生まれることでしょう。
ぜひこの新しいコンビネーションをご自分の耳で確かめてみてください!






パリから離れること、美食の都リヨン。この地の誇るフランス国立リヨン管弦楽団は、またフィラデルフィア管と違った感覚で(パリ管とも違い)、音色の色彩美を誇る名楽団。かつてクリヴィヌに鍛えられ、準メルクル、ロバートソンと引き継がれる中、透明でクリアな色合いをもったサウンドでドビュッシーやラヴェル、そしてベルリオーズなどの作品を美しく響かせてきました。機動力、というのでしょうか、小回りのきいた躍動感も持ち合わせています。
ここに2011年、新しい音楽監督に就任したのがアメリカの名匠レナード・スラットキン。スラットキンといえば、少し古いファンであれば、80年代にアメリカで二線級と言われていたセントルイス響を一躍全米ビッグ5の一角に押し上げたという一大センセーションを、最近のファンであれば、N響への数回の客演で、ピシッとしたオーケストラの統率でベートーヴェン「第9」やショスタコーヴィチ「レニングラード交響曲」を慄然と響かせたことが有名でしょう。
こうした成果からもわかるように、スラットキンは稀代の名オーケストラ・ビルダーであり、もともとクォリティの高かったリヨン管がさらにブラッシュ・アップされたことは驚くべきこと。これは現在ナクソス・レーベルから出ている録音・・・ラヴェルの管弦楽曲集などで確かめることができます。

今度の演目は、この楽団得意のベルリオーズ「幻想交響曲」や、五嶋龍を迎えてのラロ「スペイン交響曲」など、さぞや無駄のない、そしてビリッと芯の通った演奏を楽しみにしたいと思います。




モントリオール交響楽団の来日は6年ぶり。この楽団といえばなんといってもイメージ的にはデュトワ時代の輝かしい80年代・・・「フランス以上にフランス的なオーケストラ」と賛辞はとどまるところを知らず、彼らのラヴェルやストラヴィンスキー、サン=サーンスなどはひとつのスタンダードとなり得るものです。(そしてこのオーケストラは2014年でいよいよ創立80周年を迎えます。)
しかしケント・ナガノが2006年に音楽監督に就任してからも負けてはいません。もともとケントもリヨン・オペラ時代にフランス音楽では緻密・精妙、抜群の定評をもつ指揮者でしたし、ベルリン・ドイツ交響楽団やバイエルン州立歌劇場というドイツ圏で活躍していた時代に身につけた、ドイツ作品への感覚は、モントリオール響に元からある美質により幅広い音色を加えたように思います。
前回の来日公演でのR.シュトラウス「アルプス交響曲」では精妙な音色感覚と、北米のオケならではのパワー感が絶大に発揮されていましたし、片やドビュッシー「牧神の午後の前奏曲では、そこはかとなく漂う夢幻性が、この楽団の誇る名フルート奏者ハッチンズの力とともにのびのびと示されていました。

そして今度の演目は、まさにラヴェル「ダフニスとクロエ」「ボレロ」、ドビュッシー「海」、そして再び五嶋龍を迎えてのストラヴィンスキーの協奏曲。まるでデュトワ時代の再来のようですが、先に書いたようにケントも大得意、もちろんオーケストラも十八番、という絶対のプログラミングです。ぜひご期待下さい。






最後は、名指揮者アントニオ・パッパーノ率いるイタリア最高のシンフォニー・オーケストラ、ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団です。
ところでこのオーケストラ、所や時代によって聖チェチリア音楽院管弦楽団と訳されたりして、ファンの方々にとって非常にややこしかったりするのですが、原題にある「アカデミー」というのは音楽院ではなく、まさに「アカデミー」組織である、ということと(その中に音楽院が含まれます)、現代においてサンタを「聖」と訳すこともないと思われること、そしていたずらに長くするのも覚えにくいと思いますので、弊社では「ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団」と妥当と考えられるかたちにさせていただいています。

さて、オペラにおけるミラノ・スカラ座と、シンフォニー・オーケストラにおけるサンタ・チェチーリア管はイタリア音楽文化の誇る双璧。サンタ・チェチーリアの情熱をはらんだ深く鮮烈なサウンドと強靭なカンタービレ、個々のプレイヤーの恐るべき技量は大変な域に達しています。ファンならご存知のことと思いますが、(アバドもソリストとして起用する)クラリネットのカルボナーレ、ホルンのアレグリーニら、現代その楽器における名手中の名手が在籍するオーケストラだということが、そのひとつの証明ではないかと思います。
そういえば、前回の来日・・・2011年の時はチェロの首席に当時ロンドン響のティモシー・ヒューがゲストとして参加していたり、首席ティンパニのカリーニが放つ大地を割るような凄い技量・・・そしてラン・ラン顔負けのケレン味たっぷりのアクションがファンの間で話題になりました。(特に後者はNHK-BSで放映された際、多くの人の目をクギ付けにしたようです。ちょっとした笑いとともに)

そんな腕利き楽団ですから、指揮者の統率が弱かったりすると大変なことになりそうです。しかしそうならないのがパッパーノのすごいところであり、彼の大いなる才能とオケに注ぐ愛情の証です。ロンドンのコヴェントガーデン王立歌劇場という、世界指折りのオペラハウスの指揮もし、ベルリン・フィルやシカゴ響などにも客演をしつつ、彼が力を入れるのは、自らと同じ血をもつイタリアのサンタ・チェチーリア管で、それはやはり演奏がまとう空気でわかる、というべきでしょう。

このコンビ、イタリアの作品はもちろんのこと、近年かつてはやらなかったレパートリーをどんどん開拓し続け、マーラーの交響曲なども時間をかけてほぼ全曲やっています。そして今度来日公演で取り上げるのはR.シュトラウスの「アルプス交響曲」!そしてブラームスの交響曲!自分たちの特質を生かした自信ある思い切った選曲、シンフォニー・オーケストラの誇りをかける選曲に、最初その提案を見たときは心震えました。
そして諏訪内晶子がデビューCDで取り上げたブルッフの協奏曲(この曲が外来オーケストラの公演で取り上げられるのは案外珍しいのでは?)や、名手ブルネロとの歌に満ちたドヴォルザークの協奏曲(昨年このコンビでこの曲のCDがリリース、絶賛されています)とともに、ぜひぜひ楽しみにしていて下さい。


■お申し込みはこちらから

カジモト・イープラス会員限定先行受付
12月13日(金)12時 ~ 17日(火)18時  ●お申し込み
一般発売
12月22日(日)10時 ~ 26日(木)18時  ●お申し込み
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