<NYフィルを振った“超”豪華な指揮者たち>
話をNYフィルに戻します。まず、かつて音楽監督としてNYフィルを育てた巨匠を振り返っておきます。グスタフ・マーラー、アルトゥーロ・トスカニーニ、レオポルト・ストコフスキー、レナード・バーンスタインら、20世紀を代表する音楽家たち・・・(豪華!)。
そしてクレンペラーやフルトヴェングラーといった大指揮者や、チャイコフスキー、ドヴォルザーク、R.シュトラウス、ストラヴィンスキーといった作曲家たちも、NYフィルを指揮したことがあります。
マーラー (http://nyphil.org/history/より)
バーンスタインとグレン・グールド
<こんな曲も世界初演:作曲家たちの「新世界」アメリカ!>
NYフィルは、多くの作曲家たちから信頼を寄せられ、世界初演を任されてきた楽団です。リストの「交響詩“タッソ、悲哀と勝利”」、ドヴォルザークの「交響曲第9番“新世界より”」、ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第3番」、チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第2番」、シェーンベルクの「ナポレオンへの頌歌」、ガーシュウィンの「パリのアメリカ人」(2014年の日本ツアーでも演奏!詳細はこちら)などを、いずれも“作曲者の存命中に”世界初演しています。
ロシア/ソ連出身のラフマニノフやユダヤ人のシェーンベルクら多くの音楽家が、祖国の政治的混乱によりアメリカに渡り、「アメリカン・ドリーム」を現実のものにしました。
<作品委嘱:「人種のるつぼ」アメリカの心意気>
NYフィルは、作曲家に新作を依頼するという活動を通して、アメリカの作曲史(ひいては世界の音楽史)を牽引してきました。
(アラン・ギルバートが音楽監督に就任後は、コンポーザー・イン・レジデンスという制度を導入して、この活動をさらに進展させています。その話はまたいずれ。)
これまで160作品以上を委嘱。ガーシュウィンの「へ調の協奏曲」やヒンデミットの「オルガンとオーケストラのための協奏曲」などのほか、日本の作曲家では武満徹の「ノヴェンバー・ステップス」(NYフィル創設125周年記念、指揮は小澤征爾)と
「ファミリー・トゥリー」(NYフィル創設150周年記念、指揮はスラットキン)がこれに含まれます。
委嘱リストを眺めていて驚くのは、作曲家たちの人種・ジャンルの多様さ。アメリカのケージ、カーター、W.マルサリスの他、イギリスのホルスト、イタリアのベリオ、フランスのメシアン、中国のタン・ドゥン、インドのラヴィ・シャンカルらがNYフィルの後押しで新作を生みました。「人種のるつぼ」「機会平等の国」アメリカの懐の深さが垣間見られます。
過去の全委嘱作品のリストは、楽団のHPでご覧いただけますので、ご興味のあるかたはお時間のある時にぜひどうぞ(こちら)。
2009年、音楽監督に就任早々の来日ツアー中に会見を行ったアラン・ギルバート
<アメリカ初演:NYフィルとチャイコフスキーの意外な関係>
NYフィルは、アメリカがヨーロッパからクラシック音楽を“輸入”する仲介の役割をも果たしました。
その作品数はおびただしく全てはご紹介できませんが・・・、たとえばベートーヴェンの2・3・4・7・8・9番の交響曲やメンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」、シューベルトの「交響曲“ザ・グレート”」、ラヴェルの「ボレロ」、ブルックナーの「交響曲第9番」、
ショスタコーヴィチの「ヴァイオリン協奏曲第1番」(2014年の日本ツアーでも演奏!詳細はこちら)などをアメリカ初演したのがNYフィルです。
ちなみに・・・2014年の日本ツアーで、NYフィルはチャイコフスキーの第5番の交響曲を披露予定ですが(詳細はこちら:東京&横浜&名古屋&大阪 )、楽団はチャイコフスキーの「ヴァイオリン協奏曲」や第2・3・4・6(“悲愴”)番の交響曲、「マンフレッド交響曲」、「弦楽のためのセレナード」、「コロネーション・マーチ」(←チャイコフスキー自身の指揮で!)などなど、多くの作品をアメリカ初演しています。
***
小話と前置きしておきながら、随分長くなってしまいましたが・・・
次回の“小話”では、音楽監督アラン・ギルバートと歩むNYフィルの今、そしてアジア出身の演奏家たちの活躍に触れたいと思います。
(つづく)
ニューヨーク・フィルハーモニック 2014年 2月 来日ツアー
指揮: アラン・ギルバート
ピアノ: 小曽根真(2/10、2/15) イエフィム・ブロンフマン(2/12)
ヴァイオリン: リサ・バティアシュヴィリ(2/13)
■2014年 2月 9日(日) 14:00/名古屋 愛知県芸術劇場コンサートホール 【プログラムA】
【問】中京テレビ事業 052-957-3333
■2014年 2月10日(月) 19:00/大阪 ザ・シンフォニーホール 【プログラムB】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960
■2014年 2月12日(水) 19:00/東京 サントリーホール 【プログラムC】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960
■2014年 2月13日(木) 19:00/東京 サントリーホール 【プログラムD】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960
■2014年 2月15日(土) 15:00/神奈川 横浜みなとみらいホール 【プログラムE】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960
【プログラムA】
ラウス: 狂喜
バーンスタイン: 『ウエストサイド物語』より「シンフォニック・ダンス」
* * *
チャイコフスキー: 交響曲第5番 ホ短調 op.64
【プログラムB】
ブリテン: 青少年のための管弦楽入門
ガーシュウィン: ラプソディ・イン・ブルー (ピアノ:小曽根真)
* * *
チャイコフスキー: 交響曲第5番 ホ短調 op.64
【プログラムC】
ラウス: 狂喜
リンドベルイ: ピアノ協奏曲第2番(ピアノ:イエフィム・ブロンフマン)
* * *
チャイコフスキー: 交響曲第5番 ホ短調 op.64
【プログラムD】
ベートーヴェン: オペラ「フィデリオ」序曲 op.72b
ショスタコーヴィチ: ヴァイオリン協奏曲 (ヴァイオリン:リサ・バティアシュヴィリ)
* * *
ベートーヴェン: 交響曲第1番 ハ長調 op.21
ガーシュウィン: パリのアメリカ人
【プログラムE】
ラウス:狂喜
ガーシュウィン: ラプソディ・イン・ブルー (ピアノ:小曽根真)
* * *
チャイコフスキー: 交響曲第5番 ホ短調 op.64
<関連公演>
Sony Music Foundation(公益財団法人ソニー音楽財団)
10代のためのプレミアム・コンサート・シリーズ
アラン・ギルバート&ニューヨーク・フィルハーモニック
2014年2月11日(火・祝)18:00開演
<会場>サントリーホール
指揮:アラン・ギルバート/ジョシュア・ワイラースタイン
管弦楽:ニューヨーク・フィルハーモニック
ピアノ:小曽根 真
<曲目> ブリテン:青少年のための管弦楽入門
ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー
バーンスタイン:『ウエストサイド物語』より「シンフォニック・ダンス」 ほか
<お問い合わせ> Sony Music Foundation TEL 03-5227-5233
2013.10.02
2013.10.01
2013.10.01
2013.06.03