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2013/09/02 | ニュース

祝75周年!【ルツェルン・フェスティバル・レポート(1)】アバド&ルツェルン祝祭管のガラ・コンサート


クラウディオ・アバド指揮ルツェルン祝祭管弦楽団 来日中止のお知らせ


8月16日にルツェルン・フェスティバル(スイス)がスタートしたことは、先日にお伝えした通りです(ただいま、ノット指揮バンベルク響が「指環」全曲演奏中!)。

現地に滞在中の松本學さん(音楽評論家)より、ルツェルンの街や、アバド&ルツェルン祝祭管による開幕コンサートの様子を実況(?)いただきました!ルツェルン・レポートpart 1、早速どうぞ↓

 


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 この度75周年のメモリアル・イヤーを迎えたルツェルン・フェスティバルが盛況に開催中だ。湖畔に隣接されたメイン会場KKL(Kultur- und Kongresszentrum Luzern=ルツェルン文化・会議センター)は、2011年に設置された2つの屋根の支えの内、ようやくひとつが外され、以前のような見晴らしのよさを取り戻した。






 「Revolution(革命)」をテーマに掲げた今回は、例年より少し遅めの8月16日からスタート。開会式では、音楽祭のプレジデントの他に、司法・警察相のシモネッタ・ソマルガ、そしてダニエル・バレンボイムがスピーチにスピーカーとして登壇した。




 式典を終え、休憩をはさむといよいよ開幕コンサートだ。オープニングを飾るのは、もちろんクラウディオ・アバドとルツェルン祝祭管弦楽団である。
 開演時刻となりステージに入ってきた祝祭管の面々を見ると、ああ今年も始まったなと嬉しくなる。いつもと異なる点もあった。オケの性格上メンバーは固定ではないので、毎回何かしら変動はあるのだが、今回はオケの“顔”ともいうべきコンサートマスターとホルン首席に変更があったのである。前者ではこれまでずっとこのオケのフロントを務めていたコーリャ・ブラッハーの代わりにグレゴリー・アーシュ(元マーラー・チェンバー・オーケストラ、現カメラータ・ザルツブルクのコンマス)が、ホルンにはブルーノ・シュナイダーがおらず、イーヴォ・ガス(トーンハレ管)が務めていた。ちなみに、ここ数年ブラッハーとダブル・コンマスを務めていたゲヴァントハウス管コンマスのゼバスティアン・ブロイニンガーも不在で、アーシュのサイドにはルツェルン・フェスティヴァル・ストリングスの芸術監督兼コンマスであるダニエル・ドッズが座った。
 他のメンバーは概ね同じ。弦楽器の首席にはヴォフルラム・クリスト、イェンス=ペーター・マインツ、アロイス・ポッシュ、管楽器にはジャック・ズーン、ルーカス・マシアス・ナバロ、ザビーネ・マイヤー、ローラン・ルフェーヴル、ラインホルト・フリードリヒ、ヨルゲン・ファン・ライエンら、馴染みの顔が揃っている。
 そして、いよいよアバドの登場。この6月に80歳となったが、体調はよいとのこと。ちなみに彼は1966年8月20日にルツェルン音楽祭に初出演しているので、今年はデビュー47年目となる。

 この日行われた第1プログラムは、ブラームス《悲劇的序曲》(当初予定されていたノーノの《プロメテオ》から変更)、シェーンベルクの《グレの歌》からオーケストラ間奏曲と〈山鳩の歌〉(独唱は藤村実穂子)、そしてベートーヴェンの交響曲第3番《エロイカ》の3曲。
 最初のブラームスから、アバドらしい力みのない響きの世界が広がる。オーケストラはどの声部もよく浮かび上がってくるが、押し付けがましいところは皆無。筆者は、まずはポッシュ率いるコントラバスの雄弁さに唸らされた。しばらくして弦楽器がシンコペイションで動き、両ヴァイオリンがオクターヴのトレモロとなる部分では、ナバロのオーボエが光る。それが終わり、ヴァイオリンが旋律を始める際の溢れ出るような歌の豊かさも絶品だ(伴奏音型のヴィオラやチェロも実によく歌う)。



 続くシェーンベルクでは、冒頭での繊細かつ瑞々しい音や、それを一気に熱く、官能的に展開させる表現力が素晴らしく、後期ロマン派の直系に位置するこの作曲家の初期集大成としての魅力が存分に響く。〈山鳩の歌〉でソロを担った藤村実穂子は、明瞭なディクションやアーティキュレイション、深く暗めの声、テクストに即した多彩な表現でこの日も圧倒的。ラストに置かれた“zerriß(引き裂く)”という語での凄惨な声の表現も強く印象に残る。カーテンコールでオーケストラ・メンバーが盛んに拍手を送り続けていた様子からは、2004年の《トリスタンとイゾルデ》(第2幕)で、タイトル・ロールよりもはるかに優れた歌唱を聴かせたことが思い出された。
 なお、アバドはここでは2010年のストーテイン&ベルリン・フィル公演時と同様、エルヴィン・シュタインの編曲版を使用。

 これら前半のプログラムは、今秋の来日公演で聴けないわけだが、代わりとなる《エグモント》とルプーとのベートーヴェンは2012年のルツェルンで好評だった2曲なので、そちらも楽しみにしてほしい。
[参考:http://www.kajimotomusic.com/jp/news/k=1112/

 後半はプルト数を減らしての《英雄》。マーラーやブルックナーが目立つアバド&祝祭管だが、ベートーヴェンも第9交響曲(07)や《フィデリオ》(10)をはじめ、《エグモント》全曲(12)、ポリーニ(04、08)、ブレンデル(05)、アルゲリッチ(05)、ルプー(12)らとのピアノ協奏曲と、それにほぼ並ぶ頻度で演奏されている。
 《英雄》では、アバドはあまり大きく振らず、フォルテの際に左手を広げる程度。それでもオケは反応よく細かな表情を見せてゆく。第2楽章のフーガではヴィブラートを減らし、厳粛ながらも透明感のある世界。スケルツォでは冒頭すぐのフルート・ソロに続くヴィオラの対句も絶妙で、テンポをたっぷりとったトリオでは、ホルンが実に見事な安定感で聴かせていた。
 フィナーレへは休みなくアタッカで突入。しかし第1楽章同様、切迫感はなく堂々たる終楽章で、端々での低弦の存在感(音量も深みもたっぷりながら、重過ぎず柔らかさがある)など、聴き応え十分。コーダ前のフルートと弦の16分音符2つずつの掛け合いでのじっくりとした息の長さや、コーダでラストの木管の上昇音型を強奏させていたのも印象的だった。映像ソフトで出ている2000年のベルリン・フィルとの演奏が生の歓びだとすれば、今回の演奏はそれに穏やかさとあたたかみを加味したような豊かさを感じさせる、と言えばよいだろうか。
 祝祭管は、本番を重ねるごとにクウォリティをあげてゆくのが常なので、日本公演もおおいに期待できるだろう。



 なお、この第1プログラムは、KKL裏にあるインゼリ(Inseli)という湖畔の広場で同時中継され、そちらも例年通り大勢の聴衆が詰めかけていたようだ。


 


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松本さん、有難うございました!



クラウディオ・アバド指揮 ルツェルン祝祭管弦楽団
2013年10月 日本公演


独奏:ラドゥ・ルプー(10/20, 10/21公演)

■2013年10月15日(火) 19:00 東京/サントリーホール 【プログラムA】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

■2013年10月17日(木) 19:00 東京/サントリーホール 【プログラムA】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

■2013年10月20日(日) 18:00 東京/サントリーホール 【プログラムB】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960

■2013年10月21日(月) 19:00 東京/サントリーホール 【プログラムB】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960


【プログラムA】
シューベルト: 交響曲第7(8)番 ロ短調 D759 「未完成」
    * * *
ブルックナー: 交響曲第9番 ニ短調

【プログラムB】
ベートーヴェン: 劇音楽「エグモント」 op.84 序曲
ベートーヴェン: ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37 (ピアノ: ラドゥ・ルプー)
    * * *
べートーヴェン: 交響曲第3番 変ホ長調 op.55 「英雄」


「ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ松島」
 

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