トゥガン・ソヒエフ率いるトゥールーズ・キャピトル国立管の日本ツアー(全国5公演)が、12/14の京都公演を最後に、無事に閉幕いたしました。
仏レコード情報誌「ディアパゾン」(12月7日発売号)では、今後のトゥールーズ管との見通しについて訊かれ、「
ヨーロッパのオーケストラ界で“ベスト10”入り、そして“世界ベスト15オーケストラ”への仲間入りを目指す」と断言しているソヒエフ。
なるほど、共に旅をつづけたソヒエフ&トゥールーズ管からは、2011年に仏「フィガロ」紙でフランスの“トップ3”オーケストラに選ばれたのちも、この栄光に甘んずることなく、更なるステップアップを目指している“挑戦”の姿が常に見てとれました。
さて、
先日のツアーレポートでは、名古屋公演までを追いましたが、今回も写真を交えながら、新潟・京都公演の様子をご紹介してみたいと思います!
12月13日、早朝。眠気と寒さと戦いながら、東京駅から新潟駅へと移動したトゥールーズ管一行。
美しきホール“りゅうとぴあ”に到着すると、一目散に舞台上の楽器に触りに行くのは、コントラバス・セクションの奏者たち。どの地へ到着しても、彼らはいつも率先して個人練習を始めます。

今回は、トゥールーズのケーブル・テレビ局がトゥールーズ管の日本ツアーに密着取材(放送は13年春を予定しているのだそうです)。
ヴァイオリン・セクションのメンバーは、澄んだ空のもと、信濃川をバックに撮影に応じていました。それにしても、新潟の万代橋にはヨーロピアンな雰囲気があると感じるのは私だけでしょうか(フランスのローヌ川を連想させます)。
他のメンバーたちも、本番前のつかの間の新潟滞在を有意義に過ごしていました。

そして、本番。
この日のプログラムは、東京サントリーホール公演と同じく、ベルリオーズの「ローマの謝肉祭」序曲、サン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番(with諏訪内晶子)、ベルリオーズの「幻想交響曲」というラインナップ。

Toi toi toi!
東京でも強く感じたことですが、このオーケストラが操る音色のレジスターは実に実に広い!(特に、弦楽器群。)
「ローマの謝肉祭」の、もはや色を識別できなくなるほどの徹底的に明るく眩しい音色。サン=サーンスの協奏曲を支配するゲルマン的な荘厳を反映する、どこまでも暗く陰鬱な音色。そして、「幻想」では、ぶつかり合う数々の強烈な“原色”が、情景を物語っていきます・・・とにかく、音色が雄弁に音楽をリードしていくのです。
それはもちろん、単に作曲者や曲ごとの、ワイドな音色の変化だけではなく、例えばサン=サーンスの協奏曲・第3楽章の第一主題と第二主題の対比などでも、はっきりと聴き取れる特徴です。
さて。一行は、翌日14日には新潟から京都へ。

京都で出会ったこの方とツーショット
京都コンサートホールでの、ツアー最終公演です。
リハーサルでは、ソヒエフからメンバー全員にスピーチが。

「今回のツアーは得るものがとても多く、大成功だったと思う、ありがとう!」「みんなはトゥールーズで大打ち上げを行うと思うけど、楽しんでください」など、ソヒエフが流暢なフランス語でオーケストラに声をかけました。
(我々スタッフへのねぎらいの言葉もあり、嬉しかったです)
この日は、「ボレロ」がプログラミングされておりましたが、上記のソヒエフのスピーチの直後、彼が「ボレロ」のリハーサルのため指揮棒をふりだすと、なんだか不思議で懐かしい音色が・・・

フルート担当のクロードが、日本ツアー閉幕へのオマージュ、ということで篠笛(!)で冒頭の「ボレロ」のテーマを吹き出したのです・・・
爆笑のソヒエフとメンバー達を横目に、クロードは途中で立ち上がって「ボレロ」のテーマを演奏しました。
(勿論、その後は皆、マジメにリハーサルにのぞみました)
こちらは、来日前にインタビューに応じてくれたティンパニ・ソロのジャン=ルー・ヴェルヌの雄姿↓。すでに65歳ということで一度引退を経て、トゥールーズ管の海外ツアーに定期的に参加していたヴェルヌですが、今回の日本ツアーが、自身にとって最後の遠方へのツアーとなるそうです。

この日のリハーサル(とくにストラヴィンスキーの「火の鳥」組曲)では、すでに他地で演奏した曲であるにもかかわらず、ソヒエフからは細かい指示が何度も飛びます。
「そこは強く、しかしもっとまばゆい音色で」などのアドヴァイスが続き、金管楽器群にしつこく(!)分奏させてバランスをみていたソヒエフ。ここでも、サウンドへの飽くなき探求心が目立ちました。
ソヒエフ&トゥールーズ・キャピトル国立管は、ツアーを終えトゥールーズへと帰還!
今・来月も、大みそかや新年のスペシャル・コンサートなど、演奏予定が目白押しだそうです。
各地でトゥールーズ管をあたたかく迎えてくださった皆さま、どうも有難うございました。