12/8にスタートしたトゥガン・ソヒエフ&トゥールーズ・キャピトル国立管の日本ツアーも折り返し地点を過ぎ、残すところ明日
12/13の新潟公演、明後日
12/14の京都公演のみとなりました。
これまでの和やかなツアーの様子を、写真を交えて少しレポートしてみたいと思います!
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初日の横浜みなとみらいホールでは、昨今、ソヒエフ&トゥールーズ管コンビが最も拡大に力を注いでいる“ロシアン・レパートリー”からの選りすぐりを披露。後半の『シェエラザード』にて華美で芯のあるヴァイオリン・ソロを聴かせたコンミスのジュヌヴィエーヴ・ロランソーを中心に、リハーサルが進行していきました。
休憩中、横浜名物の『崎陽軒』のシュウマイ弁当に舌鼓を打つ団員&事務局スタッフたち。「C’est super bon!!」(すごく美味~)との仏語が飛び交うバックステージ。さすがはフランスのオーケストラ、美的感覚と好奇心は聴覚だけでなく味覚にも健在です。
翌々日の東京サントリーホールでは、恒例の二対の“幻想交響曲”ベルがバックステージにお目見え。舞台袖からオーボエ奏者と鐘担当の打楽器奏者が演奏に加わるということで、舞台スタッフにも心地よい緊張が走ります・・・
リハーサルの様子
12/11は、日帰りでの愛知県芸術劇場公演(名古屋)。東京駅まで、寒い中、朝早い移動になりましたが、メンバーは皆リラックス。新幹線“のぞみ”に群がり早速、撮影タイムです。
それにしても、フランス人は“数字”への好奇心が実に旺盛。新幹線の最高時速や車体の長さ(!)、年間の利用者数、窓から見える富士山の標高(窓から美しい富士山が見え、歓声があがりました!)・・・ひっきりなしに“数字”に関する質問が飛んできます(冷や汗)。
数時間前に余裕を持って劇場入りし、早速、メンバーの個人練習が始まります。今ツアー初の『ラヴェル:ボレロ』の本番を前に、皆のテンションは上がる一方。
ソヒエフのリハーサルにも熱が入ります。
『ラヴェル:ボレロ』では、出だしの最弱のダイナミクスを決定するために(これは重要ですものね)、ソヒエフ&メンバー全員が話し合い。客席の最後列に立ってサインを送る降り番のメンバーと、舞台上のソヒエフが連携を取りながら、出だしを演奏するメンバーに、様々な強弱で実験を繰り返させていました。やはり、音楽家が最後に信頼できるのは、自らの「耳」と「想像力」なのでしょう・・・海外ツアーを重ねているトゥールーズ管ならではの、興味深いやりとりでした。
ホールの音響に一番合った絶妙な“出だしの強弱”が決定したところで、ようやく『ボレロ』の続き・・・全体像が奏でられます。本番前にもかかわらず、ソヒエフは時間をかけ、分奏を繰り返させながら、各楽器パートの強弱、楽譜の要所、そして何よりテンポの安定をきめ細やかにチェックしていきました。
テンポは変化せず音色のコンビネーションと音楽のダイナミクスが徐々に移行していく・・・そのシンプルですが画期的なラヴェルのコンセプトが、彼らの演奏によって非常にクリアに理解できます。そこからは、一定の物理的な律動で進行する音楽から立ちのぼる、もうひとつの次元の時間、独特の時間の“うねり”が聴こえてきます。何も付け加えられていないのに、実に躍動的でなまなましい『ボレロ』。今まさに、ダンサーがその身体を柔軟に揺り動かし、跳ねている様が目前で繰り広げられているようでした。
リハーサルが終わっても、団員は練習の手をとめません。
こちらは、前半終了時に、拍手が鳴りやまず、袖で一瞬待機中のマエストロ。前半からブラボーをいただきました。
後半は、東京でも大成功だった『幻想』。ツアー前、マエストロはインタビューで「”幻想“は確かに”標題“音楽であり、この作品の背後にあるエピソードはベルリオーズが生きた時代の雰囲気をうかがい知るカギにはなるけれども、指揮する度に曲のエピソードを読む必要はない。というのも、楽譜を読めば、音楽そのものが明確に物語をかたっているから。」と語っていましたが、結果として出てくる演奏は非常に演劇的で描写的であった気がします(その点、皆さまどのような感想をお持ちになりましたでしょうか?)。フレーズに時にみられる遠近法やぼかし、ユーモア、詩情、ラディカルな音色の変化で語られる情景――そういった効果が、狙ってはいないのに自然に表面に現れてくる軽妙洒脱は、オペラ&バレエ劇場(=キャピトル劇場)付のオーケストラであり、フランスの地方都市で挑戦的なプロジェクトを多々発信しているトゥールーズ管ならではの個性でしょうか・・・。
日帰りということで、最終の新幹線で東京に戻った団員たち、本日はフリーデーで、おのおの東京観光を楽しんでいるようです(やはり浅草と六本木は大人気。なかには自転車をレンタルして東京中を周っているメンバーたちもいるとか)。
明日からの2公演(新潟・京都)にも、ぜひご期待ください!
トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 2012年12月 来日ツアートゥガン・ソヒエフ(指揮)
諏訪内 晶子(ヴァイオリン)
■2012年12月8日(土・祝) 19:30 横浜/
横浜みなとみらいホール 【プログラムB】
終了【問】横浜みなとみらいホール 045-682-2000
■2012年12月10日(月) 19:00 東京/
サントリーホール 【プログラムA】
終了【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960
■2012年12月11日(火) 18:45 名古屋/
愛知県芸術劇場コンサートホール 【プログラムC】
終了【問】中京テレビ事業 052-957-3333
■2012年12月13日(木) 19:00 新潟/
りゅーとぴあ コンサートホール 【プログラムA】
【問】りゅーとぴあチケット専用ダイヤル 025-224-5521
■2012年12月14日(金) 19:00 京都/
京都コンサートホール 【プログラムD】
【問】京都コンサートホール 075-711-3090
【プログラムA】
ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」 op.9
サン=サーンス: ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 op.61 (ヴァイオリン:諏訪内 晶子)
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ベルリオーズ: 幻想交響曲 op.14
【プログラムB】
バラキレフ(リャプノフ編曲): 東洋的幻想曲「イスラメイ」
ストラヴィンスキー: バレエ「火の鳥」組曲(1919年版)
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リムスキー=コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」 op.35
【プログラムC】
ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」 op.9
ラヴェル: ボレロ
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ベルリオーズ: 幻想交響曲 op.14
【プログラムD】
ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」 op.9
サン=サーンス: ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 op.61 (ヴァイオリン:諏訪内 晶子)
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ストラヴィンスキー: バレエ「火の鳥」組曲(1919年版)
ラヴェル: ボレロ
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トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 プロフィール