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2012/12/09 |

★ソヒエフ指揮トゥールーズ・キャピトル国立管 初日・横浜公演を聴いて

3年前の、このコンビによる鮮烈な初来日公演はまた脳裏にくっきり残っているのですが、正直、今回の横浜初日、最初のバラキレフ「イスラメイ」を聴いて、彼らの大幅な、あまりにも大きなレベル・アップには驚かされました!



ソヒエフが2008年、音楽監督に就任してからの数年に、実に25%に近い楽員の入れ替わりを果たしたということですが、今回は、もともと非常に個性的な色合いをもつ管楽器が「一人一人ソリストとして活躍できるのでは?」と思えるくらい、冴えた艶やかなソロイスティックな妙技を聴かせてくれますし、
弦楽器の緻密な・・・目のぎゅっと詰まった感触、キレのいい強力な合奏力といい(コンミスのジュヌヴィエーヌ・ロランソーの何たる上手さ!)、それらがトータルとして「前回ここまで凄いものだったか?」(いや、前回だって相当目覚ましかったのですが)とわが耳を疑うほどの密度と迫力、そしてそれがどんなフォルティッシモでも、嵐の吹き荒れるダイナミックな部分でも(こういうところのソヒエフの指揮の激しさと絶妙のコントロールは尋常ではありません)、エレガントさを失わないきれいな音になっていたのです。

・・・すみません。スタッフがこんな賞賛言葉ばかり連ねてもなかなか信じていただけないでしょうし、気も引ける・・・のですが、これはぜひ聴いて確かめていただければ!と思わずにはいられない気持ちです。


なるほど、フランスのオーケストラ番付でパリ管、パリ・オペラ座管と並んでトップ3と評価されるに至ったわけだな・・・納得した次第です。



原動力はソヒエフの自在で大胆な、オペラを得意とする指揮者ならではの、自然に音楽を呼吸させる天賦の才にあるのだろう、と感じながら、やはりオーケストラとの相性とか考え方、方向性がピッタリ合ったのだなあ、と思います。
見ていて(聴いていて)、オーケストラの人たちがどれだけ、「ソヒエフをはじめ、ここにいる皆で心合わせて音楽を一緒に創っていくのが楽しくて仕方ないんだ!」と感じているか、それが顔の表情、身体の動き、そしてもちろん出てくる音からその空気がありありと感じ取れるのです。聴いているこちらも一緒に演奏したくなるくらい。

しかし、こうしてみると、公演プログラムのエッセイにもありましたが、大都市でないところにあるオーケストラが、密度高いコミュニケーションからじっくりと密度高いクォリティを生み出すさまは、かつてのラトル&バーミンガム市響を思い出させてくれますし、私なぞは、今回ストラヴィンスキー「火の鳥」の「子守唄」部分での実にきれいで柔らかな澄んだ響きに、全盛時のデュトワ&モントリオール響のサウンドをオーバーラップしてしまいました。
(ソヒエフがベルリン・ドイツ響の音楽監督になっても、トゥールーズから離れない理由はこういう「本来の音楽作りができる」希少な環境にあるのだと勝手に確信しています)
また、このクォリティの演奏だからこそ・・・だと思うのですが、「シェエラザード」を聴きながら、改めてリムスキー=コルサコフのオーケストレーションというものが、後世の規範となるような独創性と合理性をもつものだったか・・・つまり面白いものだったか、ということをこれだけハッキリとわからせてくれ、聴きとらせてくれることは、なかなかないことではないでしょうか?



さて、そうなると明日の東京公演の、今度はフランス・プロによる、やはりオーケストレーションの“神”、ベルリオーズの「幻想交響曲」が楽しみになるというもの。
そして前回に続く、諏訪内晶子とのサン=サーンスもさぞかしエレガントなのでは・・・。


ぜひご期待下さい!


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トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 プロフィール

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