トゥガン・ソヒエフ指揮トゥールーズ・キャピトル国立管の演奏動画(ストラヴィンスキーの《プルチネルラ》《詩編交響曲》《結婚》)を昨日ご紹介しましたが(
こちら)、お楽しみいただけましたでしょうか。
動画は演奏会の模様でしたが、実はトゥールーズのキャピトル劇場は先月末に、舞踊部門の新シーズンの幕開けとして、上記の3作品を取り上げ、バレエ上演を成功させています。ピットで演奏を務めたのは、もちろんソヒエフ指揮トゥールーズ管。共演はキャピトル劇場バレエ団とキャピトル劇場合唱団です。
本日は、このバレエ上演を機に、ストラヴィンスキーのバレエ音楽について熱く語るソエヒフの言葉をおおくりします!
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~トゥガン・ソヒエフに訊く~
― そもそもマエストロのレパートリーの中でバレエ音楽はどのような位置を占めているのでしょうか?(ソヒエフ [以下、S]):バレエ音楽は日々振っているのですが、管弦楽用の組曲を指揮することが多いですね。つまり、チャイコフスキーの《くるみ割り人形》組曲のように、皆さんが元のバレエ作品を知るきっかけになっている組曲のことです。20世紀のバレエ音楽に話を限りますと、マリインスキー劇場でのマリインスキー・バレエとの共演経験があります。今回はトゥールーズのキャピトル劇場の舞踊部門のKader Belarbi監督、そして3人の振付家の方と初めてタッグを組み、バレエ上演「ストラヴィンスキーと舞踊」が実現しました。とても嬉しいです。
― マエストロにとって、今回トゥールーズ・キャピトル国立管(以下、ONCT)のレパートリーにストラヴィンスキーの《プルチネルラ》《詩編交響曲》《結婚》が加わったことは、どのような意味を持つのでしょうか?(S)ONCT のレパートリーを今後も広げ、フランスであまり取り上げられない珍しい作品を演奏していくことはとても重要だと思います。ストラヴィンスキーの《結婚》は、変わった楽器編成で書かれていますので、なかなか実際に演奏されません。しかし、傑作です! 反対に《プルチネルラ》は、組曲ではしばしば演奏されるのですが、原曲の形、つまり“声楽付きのバレエ音楽”として演奏されることは滅多にありません。《詩編交響曲》は、20世紀特有の探求の精神が、神聖な次元に結び付けられている作品で、ストラヴィンスキーという人物を理解するのに重要な鍵となります。
― 一般に、オーケストラにとってストラヴィンスキーの音楽を演奏するうえで最も難しい点は何でしょうか?マエストロのお考えをおきかせください。(S)ストラヴィンスキーの音楽は、オーケストラにとっても指揮者にとっても、ハードワークが求められます!リズムとデュナーミク(強弱表現)に極限まで集中せねばなりません。そしてコントラストを大切に扱い、作曲者が明記している様々な指示にも従う必要がありますから。バレエ音楽をピットで演奏することは常に“挑戦”ですが、それがストラヴィンスキーの作品の場合は、一層の、そして最も大きな“挑戦”になります。今回の[トゥールーズのキャピトル劇場での] バレエ上演プロジェクト「ストラヴィンスキーと舞踊」は、オーケストラにとって真のチャレンジです――しかしONCTも私も、最高の演奏ができるよう常に準備万端です。ストラヴィンスキーの作品を振ることは大きな喜びです!
原文: ONCT公式サイト
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ストラヴィンスキーのバレエ音楽《火の鳥》が演奏される12月8日(土)の横浜みなとみらい公演(
こちら)(
12/14京都公演でも!)、ご期待ください。
トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 2012年12月 来日ツアートゥガン・ソヒエフ(指揮)
諏訪内 晶子(ヴァイオリン)
■2012年12月8日(土・祝) 19:30 横浜/横浜みなとみらいホール 【プログラムB】【問】横浜みなとみらいホール 045-682-2000■2012年12月10日(月) 19:00 東京/
サントリーホール 【プログラムA】
【問】カジモト・イープラス 0570-06-9960
■2012年12月11日(火) 18:45 名古屋/
愛知県芸術劇場コンサートホール 【プログラムC】
【問】中京テレビ事業 052-957-3333
■2012年12月13日(木) 19:00 新潟/
りゅーとぴあ コンサートホール 【プログラムA】
【問】りゅーとぴあチケット専用ダイヤル 025-224-5521
■2012年12月14日(金) 19:00 京都/京都コンサートホール 【プログラムD】【問】京都コンサートホール 075-711-3090【プログラムA】
ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」 op.9
サン=サーンス: ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 op.61 (ヴァイオリン:諏訪内 晶子)
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ベルリオーズ: 幻想交響曲 op.14
【プログラムB】
バラキレフ(リャプノフ編曲): 東洋的幻想曲「イスラメイ」
ストラヴィンスキー: バレエ「火の鳥」組曲(1919年版) ***
リムスキー=コルサコフ: 交響組曲「シェエラザード」 op.35
【プログラムC】
ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」 op.9
ラヴェル: ボレロ
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ベルリオーズ: 幻想交響曲 op.14
【プログラムD】
ベルリオーズ: 序曲「ローマの謝肉祭」 op.9
サン=サーンス: ヴァイオリン協奏曲第3番 ロ短調 op.61 (ヴァイオリン:諏訪内 晶子)
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ストラヴィンスキー: バレエ「火の鳥」組曲(1919年版)ラヴェル: ボレロ
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トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 プロフィール